競馬マイノリティ

競馬に学び、競馬を楽しむ。

独特な適正が要求される重賞揃いの週末

武蔵野ステークス

春のダートG1と同舞台である東京ダート1600mだが、意外にもJRAダートマイルのコースは東京競馬場にしか存在しない。
そしてスタート地点から芝部分をおよそ内枠150m~外枠180m走ることになる他にない独特な適正を求められるが故にコース実績のあるリピーターの活躍が目立つ。

血統的には芝のマイル重賞でも活躍するような馬のダート転戦激走に注目したい。
20年フェブラリーSをダート転戦2走目で制覇したモズアスコット18年安田記念1着、昨年当レース3着、今年のフェブラリーSでも2着激走エアスピネル17年マイルCSで2着、活躍馬を多数輩出した東京ダート1600mの名血父ゴールドアリュール母ニキーヤはマイルG1馬ペルシアンナイトの2代母でもありマイル指向のスピードに長けた牝系と言える。

また枠の傾向も顕著である。外枠のほうが芝部分を長く走れるため内枠の馬は外から競られ、被され、包まれるという三重苦に加えて3コーナーまで約640mと長い。
直線の長さも約500mと日本のダートコースで最長距離であり道中の消耗が激しければ相当な不利を被ることは間違いない。
近5年の当コース傾向からも1枠はかなりの不利を強いられやすい点は頭に入れておきたい。

1着 2着 3着 全体 勝率 連対 複勝
1 49 47 41 900 5% 11% 15%
2 61 57 72 951 6% 12% 20%
3 61 63 59 993 6% 12% 18%
4 74 62 70 1027 7% 13% 20%
5 52 82 75 1048 5% 13% 20%
6 83 87 75 1064 8% 16% 23%
7 78 82 62 1082 7% 15% 21%
8 91 69 94 1082 8% 15% 23%

デイリー杯2歳ステークス

京都競馬場改修工事に伴って昨年に引き続き阪神外回り芝1600mでの施行となる。
昨年はレコードが記録される時計が出やすい良好な馬場状態だったが、今年はロングラン開催のAコース6週目。
先週のファンタジーSは昨年よりも1秒遅い勝ちタイムだったことからも超高速決着は考えづらい。
小頭数かつ実力馬が能力を発揮しやすいコース形状なだけに馬券的な妙味は薄いレースとなりそうだ。

ここは重賞初登場となるキタサンブラック産駒の走りを楽しみにしたい。
勝ち上がった9頭の傾向だけを見るとディープ産駒に見られる33秒台のキレ味タイプの末脚とは対象的に父譲りの先行力と体力を活かし34秒以上の上がりがかかるレースで勝ち星を積み重ねている。
道中スローで流れて直線でよーいドンの差し脚比べになってしまうと分が悪そうなだけに名手武豊騎手を背に刻むラップタイムに注目が集まる。

f:id:chichicastenango:20211112005133p:plain

福島記念

開幕週だった先週の福島で行われた芝全12レースの傾向では内枠や先行馬に有利なバイアスが生じていた。
日曜5R新馬戦を除いた11レースで1桁馬番が勝利、3着内へ好走した36頭中の1桁馬番は24頭と外枠の馬に不利な状況。
近10年の当レース傾向からも勝ち馬は1~5枠からしか出ておらず、19年5枠10番の勝ち馬を除いて全て1桁馬番が勝利と6~8枠の成績は壊滅的である。
血統的には父ステイゴールド系の馬が4年連続勝利中であり内枠に入っていたら相手に入れておいて損はないだろう。

1~4枠(7,3,6,64)
5~8枠(3,7,4,67)
1~5枠(10,7,6,76)
6~8枠(0,3,4,55)

エリザベス女王杯

こちらも京都競馬場改修工事に伴って昨年に引き続き阪神芝内回り2200mでの施行となる。
春のグランプリ宝塚記念と同コースであり、3つしかない芝の古馬非根幹距離G1という特殊なレース適正を求められるだけに血統的な特徴も出やすいコースである。

昨年一昨年と異なる競馬場で連覇を果たしたラッキーライラックの父はドリームジャーニーナカヤマフェスタといった宝塚記念馬を複数輩出したステイゴールド系でありステイゴールド自身の初G1制覇はキャリア50戦目となる香港だった。
ステイゴールドの産駒たちもまた異国の地での活躍が目覚ましく、国内では少し足りないが国外で秘めたる才能が爆発するような少しズレた適正が求められている。

昨年2着サラキアは次走の有馬記念を2着、有馬記念といえばオルフェーヴル引退レース8馬身圧勝や春秋グランプリ制覇のリスグラシュークロノジェネシスといった海外G1でも活躍した馬がそのまま走るレース。

昨年3着ラブズオンリーユーも今年になって香港アメリカのG1を制覇したことからもキャリアを重ねて再上昇が見込める馬が狙い目となりそうだ。

1~2人気に推されるであろう3歳馬アカイトリノムスメはこの傾向とは真逆の存在、母アパパネも2年続けて3着と敗れていることからも血統的な適正からは過信できない。