競馬マイノリティ

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ゴール前に急坂がある今年の菊花賞

富士ステークス

今週までAコースで行われる東京競馬場の馬場状態は相変わらず良好な状態。
先週までに行われた芝重賞3レースの傾向を見ても直線で速い上がりを求められ、33.0秒前後末脚が使える馬にとっては馬場の中外側を通っての追い込みも決まる。
血統的にはディープインパクト産駒が近10年で2017年を除いて3着内へ毎年好走しており日本ダービーで活躍するような日本の主流血統に向いたレースだ。
昨年からG2へ昇格し実績馬が能力を発揮しやすい条件とも言える。
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先日5年振りの復活勝利を果たした16年ダービー馬マカヒキの活躍からも高い注目を浴びる18年ダービー馬ワグネリアン
マカヒキはG2レースでは(2,1,2,1)と堅実、しかし左回りは(1,0,0,7)と唯一の勝利となったダービー以外では苦戦を強いられている。
ダービーの走りが脳裏に焼き付いた多くの競馬ファンが抱くイメージとは切り離して考えることがマカヒキを取捨する上での重要なポイントであろう。

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一方でワグネリアンの取捨で大事なのはダービー前までの走りのイメージを強く持つことである。
元々は新馬戦で上がり32.6秒の末脚を繰り出した豪脚の持ち主、日本ダービーは不利な大外枠の関係で強気にポジションを取りに行く競馬をしたが本来は後方からの競馬でこそ父譲りの末脚が活かせる。
実際に直線が長いコースでは堅実に走る。直近でそのコースを走ったのは2年前の天皇賞(秋)ジャパンカップ
前者は枠の不利がありながらも5着、後者は末脚を活かせない道悪での競馬で3着と改めて能力高さが伺えた。

ワグネリアン直線距離別成績
直線が400m以上(5,0,1,1)
直線が399m以下(0,1,1,6)
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ダービーを勝ち不振に陥ったディープ産駒と囁かれながらも引退させないだけの理由があった金子オーナーと友道調教師の手腕には本当に脱帽でした。
ディープインパクト産駒の奥深さと日本競馬の主流血統を育んでこられた金子オーナーと関係者の皆様には改めて敬意を表したい気持ちで一杯です。
週末のワグネリアンにも大いに期待したいものです。

菊花賞

京都競馬場改修工事に伴って今年は阪神内回り芝3000mでの施行、春に行われる阪神大賞典と同舞台になる。
京都と阪神とで大きく異なるのは上り坂がある位置。前者は外回りコースの3コーナー手前にあり、後者はゴールまで残り200m付近にある。
例年の菊花賞は2016年6人気3着と好走したエアスピネルのようにスピード持続力に長けた短距離~マイル路線で活躍するような馬が穴をあける。

外回りコースで上り坂のある3コーナーで体力を削られた後は4コーナーまで下り坂で楽に加速することでき、そのスピードを平坦な直線でゴールまで持続し続けるアメリカのダートに似た流れになりやすいためだ。京都外回りで行われるG1レースで多くの人気薄先行馬が大穴を演出してきたのはこのコース形態があってこそだと言わざるを得ない。
これに対して内回りコースの阪神は直線が短く馬群が密集した状態かつゴール手前の急坂で苦しみながら馬群から抜け出す根性比べのような形になり、イギリス競馬のようなタフな展開になりやすい。外回りの広々とした直線で馬群が散ける京都とは真逆の方向を示していることは頭に入れておきたい。

血統的には近10年でディープインパクト産駒(4,3,2,24)の好成績に対してハーツクライ産駒(0,1,0,12)は相性が悪い。
凱旋門賞と並ぶ欧州のビッグレースの1つキングジョージ3着の実績を持つ父なだけにタフな阪神での長距離戦なら巻き返しも期待できそうだ。