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今開催の中京ダートは逃げ・先行馬が最後までスピードを持続し続けやすい砂質と路盤。
これに台風等による天候不良が重なり馬場が湿って脚抜きが良くなるとタイムトライアル的なレース質となりやすく、開幕週にはレコードタイムも記録されたほどの競走馬へ掛かる負荷が少ない軽い馬場コンディション。
特にコーナーを4回通過することになる1800m以上のコースにおいては当日の馬場状況によって傾向が大きく異なる。
JRA発表の馬場状態:良で行われたレースにおいては、内ラチ沿いを立ち回りコーナーをロスなく回れるメリットが大きいことから大外7,8枠から3着内好走馬が出ておらず、対照的に降雨により馬場状態:稍重~不良で行われたレースにおいては競走馬に掛かる負荷が大幅に軽減されるためか外枠から先行争いへ加わることの不利が少ない状況が見られている。
- 今開催中京ダート全体枠別成績
- 今開催中京ダート全体脚質別成績
- 今開催中京ダート1800m以上枠別成績
- 今開催中京ダート1800m以上脚質別成績
- 今開催中京ダート1800m以上枠別成績※馬場状態:良
- 今開催中京ダート1800m以上脚質別成績※馬場状態:良
- 今開催中京ダート1800m以上枠別成績※馬場状態:稍重~不良
- 今開催中京ダート1800m以上脚質別成績※馬場状態:稍重~不良
京都競馬場改修工事に伴う代替開催によって中京ダート1900m施行で行われた近2年のレース傾向としては、直線距離が長く急坂も設けられたホームストレッチを2度通過するタフなコースで行われるハンデ重賞なことから斤量面で有利になりやすい3,4歳馬や前走ハンデ戦へ出走していた条件慣れが見込める馬が好走傾向にある。
また左回りコースで行われる1900m以上の長距離レースなことからアメリカクラシック三冠レースに近い適正を求められやすいためか近2年の勝ち馬はいずれもアメリカクラシックで実績を残す父系の産駒であった。
- 20,21年性別,所属,年齢別成績
- 20,21年斤量別成績成績
- 20,21年馬体重別成績
- 20,21年出走間隔別成績
- 20,21年前走距離別成績
- 20,21年前走クラス成績
- 20,21年種牡馬別成績
- 20,21年枠別成績
- 20,21年脚質別成績
パリロンシャン競馬場で行われる芝2400m路線における世界最高峰のレース。
今年の総賞金500万ユーロ(約6億5000万円)は欧州ナンバーワンを誇り、昨年はIFHAが発表する世界のG1レーストップ100の第1位にも輝いた。
凱旋門賞は芝2400mの外回りコースを使用して行われ、スタートして約400mは平坦だがここを過ぎると1000m地点にかけて最大高低差約10m(中山競馬場の約2倍)を誇る厳しい勾配の坂を600mほど駆け上がる。
山頂へ辿りつき3コーナーを回ると今度は一転して高低差約10mの坂を600mかけて下り強制的に加速が促されると、勢いそのままに競馬場名物フォルスストレートと呼ばれる偽りの直線部分を約250mほど走り迎える最後の直線は平坦でその距離は東京競馬場とほぼ同じ533mほど、2019年以降は凱旋門賞開催日のみ使用される最後の直線へ入ってすぐに内の仮柵がなくなり、内側5mほどにグリーンベルトが出現する変則コース。
日本競馬を慣れ親しんだ競馬ファンからすればパリロンシャン競馬場の印象間違いなく起伏の激しいコースではあるが、欧州競馬のコースの中ではスタートして400mまでのポジション争いが終わると最後の直線を迎えるまでにいかに消耗しないかの我慢が問われ続け、道中で動くことがそのまま不利に直結するコースだ。
即ち実際にレースが行われている部分はスタート400mと最後の直線533mのみの約1000mだけのスプリントG1だと言っても過言ではなく、道中内ラチ沿いを走って最後の直線に入ると内ラチ沿いにさらにボーナス部分が発生しているという構造は日本のコースで例えるなら新潟芝1000m直線で外ラチ沿いを占拠し続ける外枠馬がイメージに容易い。
実際に凱旋門賞が行われる日に組まれている芝1400mで行われるG1フォレ賞は芝2400mコースの後半1400m部分をほぼ使って行われ、2015年にはメイクビリーヴ(父マクフィ,ドバイミレニアム系)芝1400mの世界レコードとなる1:17秒が記録されたほどで、マグナーテン(父ダンチヒ)が新潟芝1400m(内)で記録した1:19秒の日本レコードより2秒も早いのである。
当レースを2013(重),14(良)年と異なる馬場状態で連覇した名牝トレヴは母父に日本でも馴染みのある直線コース欧州スプリントG1ジュライC,モーリス・ド・ゲスト賞を勝利したアナバー(父ダンチヒ)の血を引く馬であった。
2011年レースレコード(※シャンティイ開催時除く)で勝利したデインドリームも母父にスプリント王国豪州などを筆頭に繁栄するデインヒル(父ダンチヒ)の血を引いており、加えて同馬はドイツ生産・調教馬であり父ロミタスはドイツオークス馬サロミナ(サリオス,サラキア等の母)も輩出したドイツで実績収める血統でもあった。
2021年不良馬場を13人気で勝利したトルカータータッソもドイツ生産・調教馬、父アドラーフルーク(サドラーズウェルズ系)はドイツダービー馬であり2020,21年ドイツリーディングサイアーへも輝いた。
母母父に平坦な芝マイルコースである京都芝1600m(外)で当時のコースレコードを記録したワールドエースの母父としてもお馴染みのドイツの大種牡馬アカテナンゴの血を引いており平坦コースを速く走れる血統的な裏付けがあったことからも、当レースは馬場状態問わずに平坦な直線を速く走れるスプリント指向な血統が強いレースと言える。
これは当レースを連対した日本馬3頭にも共通する。
1999年エルコンドルパサー(父キングマンボ)は日本でも馴染みのある欧州直線G1ジャック・ル・マロワ賞を連覇した名牝ミエスク(父ヌレイエフ)が輩出したキングマンボ産駒、自身も同レース制したタイキシャトルが勝利した東京芝1600mG1で勝利実績があった。
2010年ナカヤマフェスタ(父ステイゴールド),2012,13年オルフェーヴル(父ステイゴールド)もG1ジャック・ル・マロワ賞を制したディクタスの血を引くステイゴールド産駒、同馬の母ゴールデンサッシュの全兄は芝マイルG1を2勝,2歳時(当時3歳表記)にレコードタイムを記録したサッカーボーイがおり、同馬の母父ノーザンテーストは前述した現在は凱旋門賞開催日に行われているG1フォレ賞勝ち馬でもあった。
上記の事を踏まえるとトップスピードに影響を及ぼす斤量が軽い馬(3歳馬,牝馬)やコースロスが少ない内枠馬が恵まれやすい構造が毎年のように繰り返されていることが理解しやすいのではないだろうか。
- 近10年6人気以下好走馬(※16,17年シャンティイ開催除く)
施行年 |
馬場状態 |
人気 |
着順 |
性齢 |
枠番 |
馬名 |
父系 |
備考 |
21年 |
不良 |
13人気 |
1着 |
4歳(牡) |
12番 |
トルカータータッソ |
サドラーズウェルズ系 |
ドイツ生産・調教馬 |
18年 |
良 |
10人気 |
3着 |
5歳(牡) |
6番 |
クロスオブスターズ |
ダンチヒ系 |
母父キングマンボ |
14年 |
良 |
7人気 |
1着 |
4歳(牝) |
3番 |
トレヴ |
サドラーズウェルズ系 |
母父ダンチヒ系 |
14年 |
良 |
11人気 |
2着 |
4歳(牡) |
4番 |
フリントシャー |
ダンチヒ系 |
A.ファーブル調教馬 |
12年 |
重 |
12人気 |
1着 |
4歳(牝) |
6番 |
ソレミア |
サドラーズウェルズ系 |
特に無し |
12年 |
重 |
6人気 |
3着 |
3歳(牡) |
17番 |
マスターストローク |
ブランドフォード系 |
A.ファーブル調教馬 |